有力議員も強い関心
無利子国債の議論の発端は1997年に遡り、この際には旧国鉄債務処理の財源として自民党内で検討されたほか、99年に発足した自民、自由、公明の3党連立政権合意にも盛り込まれていた。
その後再び議論が甦ったのは、自民党麻生政権時代の2009年2月のこと。当時の中川昭一財務相兼金融担当相が、無利子国債の発行に関心を示した。また同時期、与謝野経済財政相も「無利子国債を出すことによって眠っている金融資産が出てくると、有効需要の創出に使われるという説がある。国民が持っているまだ活用されていない金融資産を、どうやったら活用できるかという動機があっての議論ではないか」と述べている。このころ与謝野氏の指示で、この問題についての省庁横断の勉強会が始まった。
政権交替で話は消えたかと思いきや、これをまた議論の俎上に乗せたのが民主党の小沢一郎前幹事長。代表選のさなかに「都道府県で高速道路を造らせる仕組みにしたらどうか。それを国が支援する」と述べたうえで、地方の負担分について「無利子国債で補てんする考えだ」と語り、無利子国債の導入を検討していることを明らかにした。仮に小沢氏が代表選で勝利していれば、今頃は具体的な検討が進んでいたのかもしれない。
小沢氏の代表選敗退後、この意思を引き継いだのが海江田経済財政相。と言うより、そもそも小沢氏が掲げたアイデアは海江田氏の発案とされ、2006年には「政府は一刻も早く無利子国債を発行すべきだ」と発言するなど、同氏は根っからの無利子国債支持派だ。同時に「その分、相続税が減るのではないかとの指摘もあるが、それはもちろん覚悟しなければならない。しかし現在、相続税収は1兆5000億円余りで、酒税の1兆6000億円と比較しても少ない額になっている」とも述べている。