「こうすれば会社は潰れる」(板倉雄一郎氏)

グーグルを目指すのか、街に店を出す程度なのか


 今から振り返れば、失敗した理由は解っている。人間だれしも先のことがわからないから、成功するのか失敗するのかを見極めることはできない。「たら、れば」を言いだすとキリがないのだが、まず、第一の失敗に経営リスクと経営資源のリスク許容度を誤ったことにあるという。板倉氏は次のように話す。

 以下板倉氏)失敗しない起業も、絶対に失敗する起業も、起業時点ではわからないと僕は思うのです。経営のリスクをどのくらい取るのか。グーグルを目指すのか、街で店舗を2、3店出すのか。経営リスクに対し適切なリスク許容度を持った資源を調達することが大切なんだと思います。

 経営資源とは「人、物、金、時間、情報」という5つなんです。それは、結婚に例えればわかりやすいのですが、起業家の男と、安定した専業主婦になりたい女とは結婚してはいけないし、公務員と結婚すべきだと思うんです。経営リスクスタイルと経営資源の性格の一致が計られているかどうか、という一点に尽きるでしょうね。

 リスクとは危険性ではなく不確実性。ゼロになるかもしれないが100倍、1000倍になるかもしれない。その幅が小さいか大きいかなんですよ。

 人で例えるなら、MBAを持っている人が2人いるとしても、その能力を大企業に行って高く安定したいい給与を得たいのか、リスクを取ってベンチャーで活かしたいのかで全然違うはずです。前者はベンチャーに行くべきではないし、後者は大企業に行くべきではないですよね。経営リスクと経営資源の性格の一致が計れない企業は成功しにくくなります。

 ハイパーネットの失敗はまさにそう。(ハイパーシステムは)アイデアも良いし、マーケティングも良いがリスクは高い。それなのに銀行からの融資というリスクを好まない資金に依存し、ベンチャーに本当に必要ではない資本を米国につぎ込んだり、高額なシステム(タンデム・コンピュータ)を使ったり、やはり資源と経営リスクの不一致が失敗の原因でした。

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