『開成番長』が語る、ギャンブル漬け人生【4】

保護者とのかかわりの大切さ

 社会人経験がない状態で塾を立ち上げたので、色々な苦労を味わいました。一番大変だったのがクレーム対応。年が若いこともあってか、親御さんに上からガッと言われることもしばしばでした。そんなとき、我慢できずこちらも主張してしまい、余計にこじれることが多々ありました。

 相手が理不尽だと思っても、立場上きちんと話を聞いてある程度我慢することも必要になってきます。ところが、もともと僕は理屈で納得できないことには、つい反論してしまうタイプ。対友人と対お客様とでは全然スタンスが違うことや、しっかり話を聞くことの大切さを学びました。

 「キーッ」となっているお母さんも、話すだけ話すとすっきりするということが、最近やっとわかってきました。親御さんからすればお金を払ってお子さんを預けているわけですから、不満があるということは何かしらこちらに不備があるという意識でいないとダメなんですよね。生徒だけでなく保護者とのコミュニケーションは塾を運営する上で欠かせない大切な要素だと思います。

 塾選びは9割がた親主導なので、塾に興味を持っていただくには、いかに親御さんに塾の特色や実績を認知してもらうかですが、その点で著書の影響は大きかったです。2008年夏に出した「開成番長の勉強術」では、勉強法、生い立ち、教育観、人生観まで書いたのですが、たくさんの方に共感していただけました。

 親御さんからすると、東大出身といってもまじめ一辺倒であって欲しくないという気持ちもあるようで「繁田先生はいろいろな人生を経験してきているんですね」と、微笑みまじりによく言われます。「勉強だけできても人生楽しくない」という僕の考え方に共感していただける方はとても多いですね。本を出してからは遠くから来てくれる生徒が増え、横浜や千葉、埼玉から通っている子もいます。

 最近ではスカイプを使用することで超遠距離の指導も可能になって、北海道や九州の生徒さんにもライブで授業を提供できるようになりました。時代に合わせた最先端のシステムをすばやく取り入れることができるのも、自らが意思決定できる中小規模ならではの機動力あってこそだと思います。

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