国税庁の富裕層海外資産包囲網、最新事情

 帝京大元総長がリヒテンシュタインで運用していた15億円の存在が明らかになり、遺族が国税局から申告漏れを指摘された。同国は日本とは租税協定を結んでいないタックスヘイブン。それでも捕捉されてしまうこの時代、税収確保に躍起になる国税庁は海外の富裕層マネーもターゲットに入れるようになった。国税庁の富裕層の海外資産包囲網の現状に迫った。

富裕層の海外資金は狙われる

 「課税部の幹部がやる気になっている」

 関係者から、こういう話が漏れ聞こえてきた。課税部とは国税庁の一部局のことで、法人や団体以外、つまり個人を担当している部局だ。

 打ち出した方針は「富裕層、海外資金、無申告」の3つなのだという。最近、国税庁から報道発表されるデータモノの中には、確かに“富裕層”というキーワードが目立つようになったと気づく人は多いのではないか。


国税庁
 「日本の国税庁は優秀です。しかし、それは国内に限ってのことで、海外に関しては追跡しようがなく、しょうがなかったのです」とはある税理士。

 しかし、2001年の「9・11」テロ以降は、世の中の事情が変わってきているのだ。つまり、バレる可能性が高くなっているということだ。それを象徴するかのような案件が最近明らかになった。

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