良い物件を持てば売買のタイミングに迷わない
現在は、不動産市況も全体に低調で、東京都心部でも空地が目立つところもあるほど。ただ価格も下げ基調なら買いやすいという意味で買い場であるという捉え方はできる。ただし、沢田さんによると、それ以上に投資家たちのマインドが市況の強弱を決めるのだという。
「みんな皆さんが悲観しているか、みんな皆さんが買う気になっているかで不動産の市況は決まるように思います。ですから、今はみんな皆さんが悲観している状態なので買い時ではないでしょうか。下がり続ける相場もないし、上がり続ける相場もないと思います。不動産は金融資産と違い、下がっている時はテナントさんの賃料収入というインカムゲインで持ち続けることができます。地価が上昇してきて、もっと上がりそうだというムードが高まった時に売却できれば、ベストです」
自分が得意な街で本当に好きになれる物件を、みんなが悲観している市況の時に買う。そうして、賃料収入というインカムゲインで持ち続け、不動産市況に活況がきたら、売却する。シンプルに考え、あまり深刻に悩む必要はないようだ。
「例えば子供が遊んでいるカードゲームなどでは、ゲームバトル中、一番いい気分になれる時が、売り時だそうです。そのカードの価格が上昇し、最も価値が高まったとき、そのカードは、ゲームバトルでは最強のカードとなります。感情的には、持ち続けたいという思いになってしまうときなので、心理的には中々、手放すことが難しく、売却のタイミングを逃してしまいがちなときなのですが、そのときこそが、売却のときです。まず、資産価値の高いカードを、近い未来を予測して購入することです。つまり、不動産でも同じで、良い物件を購入し、時を待つことができれば、自然と出口は見つかります」
こうして達成された100戦無敗。沢田さんはサラッと言ってのけるが、実はこうした徹底的に基本に則った投資家が勝ち続けるのかもしれない。
(終わり)
沢田富美子(さわだ・ふみこ)さん、1961年、愛知県生まれ。モスクワオリンピック(1980年)のイメージキャラクターとして、1979年にアニメ「こぐまのミーシャ」の主題歌「ノルマーリナ・ミーシャ」を歌った。その後も「ちょっと春風」、「風のシルエット」、「愛の泉」「哀愁のメキシコ」などのシングル5枚を発表している。1983年に会社を起業。不動産投資家、ビル経営者として活躍。YUCASEE( ゆかし )会員。