任天堂社長が語る、DSで携帯電話に挑む(後編)

社長は開発者魂を忘れてはいけない

 DSもそうだが、今後ゲームの開発も含めてビジョンはどうなっているのか、世界中の投資家、経営者、そして子供たちやファンにとっても重大な関心事でもある。

 (岩田社長)今、次の機械はこうしますとしゃべると、競争上大変好ましくないんです。昔以上に任天堂が次に何をするかを注目していただけるようになったので。

 ただ、過去にゲーム機が5年~6年サイクルで世代交代をしてきたので、次も必ず5~6年サイクルだという考え方が割と支配的なのですが、私は必ずしもそう思っていません。任天堂は、例えば宮本(専務)が「もうこの機械ではやることは全部やり尽くしたので、新しいネタがないと新しい驚きを作り出すことは難しい」と言う時代がいつか来るので、その時のために新しいハードを研究しているという構造だと考えていただいた方がいいです。

 色んな技術が成熟してきたので、コンピュータグラフィックスの性能が上がるから、5年、6年サイクルで新しい機械だという時代はもう終わったのではないかというのが私の認識です。

 もちろん、次はどうしようと考えているし、開発しています。しかし、テクノロジードリブンの会社のように、最初にロードマップを描いて、それから作るというスタイルでは任天堂はありません。あくまで、ソフトにとって意義があるハードの新しさは何か、ということで考えています。

 最後に言わせていただくと、ビデオゲームはつまらないことを楽しく人に続けてもらうということについて、ものすごくノウハウがあるものだと思うのです。僕らはビデオゲームを触ってもらって、すぐに「つまんない」「飽きた」と言われてもらうと困るので、お客さんにとってのご褒美を途中にいっぱい散りばめながら続けてもらうということについて、ものすごく鍛えられているのです。すいません、私は社長でもうゲーム開発者は引退しているのですが、心はまだゲーム開発者なものでつい喋りたくなりました、失礼しました。(終わり)

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