アラン・デュカス氏が選んだシャトー・ホテルに泊まる

オーナーの伯爵夫妻が今も住む古城


湖に面して立つシャトー・ド・ラ・ヴェルリー
 シャトー&ホテル・コレクションでおすすめな古城ホテルの1つは、ロワール地方の東にある「シャトー・ド・ラ・ヴェルリー」。湖に面して立つ外観は、まるで童話に出てくるような中世の古城。約500年の歴史を持つこの城は1800ヘクタールの敷地の中にあり、人里離れた深い森に囲まれています。

 この城は、現在もオーナーのド・ヴォグエ伯爵夫妻が実際に住んでいます。広大な城の内、夫妻の居住区以外の一部、12室が客室として使われているのです。時々、伯爵が8頭の馬と50頭の狩猟犬を引き連れて、狩に出る様子も見られます。

 ルネサンス様式の回廊、厳かな雰囲気のゴシック様式の教会。代々この城に住んだ貴族の肖像画や、中世からタイムスリップしたかのような数々の調度品。重ねられた濃厚な時間が醸し出す空気は、まるで美術館に泊まっているかのような錯覚を覚えます。城内にあるチャペルでは結婚式を挙げることもできるそうです。


オーナーのド・ヴォグエ伯爵が狩りに出かける様子も見られる

 また、同じロワール地方の中心にある「シャトー・ド・プレ」もおすすめのシャトー・ホテル。パリから車で約3時間、アンボワーズの駅から3kmほどに位置する歴史ある古城です。エントランスに一歩踏み込めば、そこは中世のフランス。騎士の甲冑が飾られた廊下、アンティーク家具が配された重厚なインテリアが、その時代に暮らした人々の優雅な生活を思い起こさせます。客室の天井は高く、広々とした印象。昔の正面玄関だった中庭から北の林に出ることができ、城の近辺を散策することもできます。庭園には野菜やハーブの畑が広がり、城内のレストランでは旬の野菜を使用したナチュラルフレンチを堪能できます。また、ロワールの古城巡りをするには、このシャトー・ホテルを拠点にするのがおすすめです。

古城ならではの不便さも覚悟は必要

 伯爵の居城のようにプライベートシャトーの一部を開放している場合、専用のレストランがないところや、食事をオーナー夫妻が作っているところもあります。まるで親しい友人の家に招かれたかのような温かく心のこもった接客は、シャトー・ホテルならでは。

 しかし、メリットだけではありません。通常のホテルとは異なり、ポーターサービスがなかったり、人里離れたところに位置するため周囲に何も娯楽施設がなかったりと、そういう不便さもあります。また古城にはエレベーターなどがなく、客室が2階以上にあることも多いので、階段を上がるのが大変という難点もあります。自分が泊まるホテルの条件を、事前に十分調べておくことが必要です。


ロワール地方、シャトー・ド・プレの客室

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