【切手を1億円集めた男】(上)

資金力がすべてにあらず

 まず、最初に下の表を見てもらいたい。切手のコンテストでの評価基準の得点構成を示しているものだ。

 ◆コンテストの評価基準◆
主題の選択 15
構成・展開 15
郵趣知識  20
研究    15
状態    15
希少    15
展示技術  5

 「郵趣知識」に最も高い配点である20点がついていることに気づくだろう。これは、切手に関する歴史的な背景などをどれだけ理解しているか、という意味。それが基本となり、コレクションの戦略が変わってくるのだ。

 「特定の分野や、テーマを追求してみる人が多いですね。そこからの拡がりやテーマは無数にあるし、切手は本当に奥行きがある趣味ですね」

 また、少なからずニセ物も存在するのだというが、モノによってはニセ物の方が本物よりも価値が高い場合もあるというから、単に資金力があるだけではどうにもならないというわけだ。

 だから、極めるには何十年という時間がかかることはザラで、10年くらいのコレクターなどはまだまだ若手でしかない。Aさんも究めようと意識していたわけではない。だが、趣味が高じていくうちに、いつしか国内では最高の賞を授与されたこともある。

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