大富豪子弟の「貧乏旅行」に隠された野望

やはり家の繁栄のため


写真は共和党の有力者ミット・ロムニー氏
 大富豪や資産家の親たちの子供たちへの野望がある。富を得た親たちは名声や地位に憧れる。しかも、政治家や社会福祉家としての社会性のある地位にだ。

 そこでこのような旅行を子供にさせる事で生の世界を体験させ、社会のため、全人類のために行動をとるような大人に成長してほしいと願うからだ。自分たちが新興国でまだ生活環境が良くない所に行くのは嫌だが、自分の子供たちにはリアルな世界を見せることで何かに芽生えてほしいと考えている。

 一方、子供はどうだろうか。A君はこの9月にスタンフォード大学に入学する。自宅はシリコンバレーのど真ん中のプール付きでもちろん常勤の家政婦がいる。アメリカの7年生(日本では中学1年生)から中学3年間と高校4年間(アメリカの高校は9年生から12年生まで)計7年間夏休みに、Service learning trip(以下SLT)に参加した。

 その旅行を振り返り彼は自分が7年間毎年成し遂げた、という満足感と何よりも第一志望のスタンフォードへの入学願書を書く際にこれが自信を持ってかける功績で、しかも「現地での体験が入試小論文のよい題材になったことが良かった」と振り返る。スタンフォードに入学が決まってこの夏、かれはヨーロッパへ家族と旅行し、新興国でのSLTには行かない。

 ともあれ、親、子供ともに目的は達せられたというわけだ。

1 2 3
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる