「1億2000万円返せ」安愚楽牧場出資者の怒号

7月末の配当が払えない?

 出席者によると、安愚楽牧場は6月末の未払いが発生し、何とか60億円を用立てなければならなくなったという。その間もメディアへの広告出稿は止めずに、どんどん新規募集を行い、新たな資金を集めて乗り切ろうとしていたのだろうか。7月のスケジュールは次のようになる。

7月15日 約40億円の配当支払い
7月24日 安愚楽牧場が役員会を開催
7月26日 弁護士に事態を説明し相談
7月28日 弁護士から民事再生法の適用申請を勧められる
7月29日 民事再生法の適用を申請することを決定
8月1日 東京商工リサーチが「債務調査中」と発表
8月10日 東京商工リサーチが「倒産」を発表
8月17日 債権者説明会を開催(神戸市)
8月19日 債権者説明会を開催(東京都)

 7月15日に配当の支払いは何とか完了したものの、問題は7月末にもう一度支払いがあることだった。その額は約60億円だったといい、26日の役員会ではあらゆる方法を模索したという。また、8月以降もメドが立たなかったことで、残る道は一つしかなかった。

 牧場側にはもういっさいの余力は残っておらず、最悪のケースを覚悟して顧問弁護士に相談するより他なかった。7月の締め日であった7月29日、1979年に和牛1頭からスタートした安愚楽牧場を倒産させる道を選んだ。

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