私はこうして「青山霊園」の抽選に当たった(下)

 富裕層の「終活」、それは相続とお墓。日本国内においてブランド墓地、特に東京都立「青山霊園」の権利を獲得するには20倍前後の抽選に当たらなければならない。前回は供給状況や「受験生」の動向など周辺を探ったが、今回は実際に7回目のチャレンジでようやく当選したという元投資銀行勤務の50代男性に体験談を聞いた。

7度目のチャレンジで当選

 「1回参加しなかっただけで、あとは全部申し込みました」

 ほぼ毎年20倍前後の高い競争率ということはわかっていただけに、1回でスンナリ当選するとはこちらも思っていなかった。03年~10年まで1回をのぞいて、毎年チャレンジを続け、昨年ようやく当選を手にした、という東京都内の元投資銀行勤務の男性(50歳代)に話を聞くことができた。

 まず男性には、「埋蔵施設 使用許可証」という青山霊園の使用を許可する東京都知事の公印が入った証書を見せてもらった。当選者はすべての手続きを終えると、この証書を授与される。


東京都立青山霊園の埋葬使用許可証

 男性は「霊園の位置までは自分で選べないので、気に入らない場所が当たったら、実は再チャレンジしようと思っていました」と意外な事を話した。

 当たるだけでもたいへんなのだが、場所までは選べないというのが、青山霊園の抽選の難しい点。約26万平方メートルもある広大な敷地の上に、飛び地まである。しかし、幸いにして好位置が当たっただけに、手続きを進め、現在は墓を建て終えたのだそうだ。ちなみに3年以内にお墓を建設しないと、権利は自動的に失効する。

 今回は、実際に青山霊園に抽選に当選し権利を得た男性の話を聞き、青山にお墓を建てることの意味について考えていきたい。

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