相続税対策「タワーマンション節税」は今後も有効か

 2015年からの相続税率が変わる。その対策の一つとして、いま脚光を浴びているのがタワーマンション購入による「タワーマンション節税」だ。おおむね8割の評価減を取ることができるため、特に富裕層ならば、7~8割の資産減という効果が最も期待できる節税方法として知られている。しかし、相続対策を意識する富裕層が多数、参入したために価格が高騰しており、注意点も挙げながら効果を最大限にする取り組みを見てみることにする。

8割減を取る

 


 数年前には、ごく一部の相続を専門とする税理士の間では「もしかしたら」と計算してみると、タワーマンションが節税になるということが判明し、富裕層の間では知る人ぞ知るという手法であった。しかし、2011年の東日本大震災以降に実行されるようになり、今は半ば当たり前となってきている。

 一般には「建物の評価額×(7~8割)=相続税評価額」となる。富裕層が相続対策で利用するのは納得だ。

 タワーマンションは、土地上部の空間を最大限に活用しており、土地代の割合が少なく、その上に分譲価格が高いということもあり、通常のマンションより相続税評価額は低くなる傾向にある。しかも、高層階になればなるほど節税になる。例えば同じマンションでも階数が違えば、相続税評価はまったく異なる。

Aマンション    分譲価格  相続税評価額

5階 70平方メートル 5000万円  1000万円

40階 70平方メートル 8000万円  1600万円

 仮に、2億円の資産を持つ富裕層が、Aマンションの40階の物件を購入したとすれば、資産は次のようになる。

手持ち残り現金 1億2000万円
マンション評価額 1600万円

相続資産合計  1億3600万円

 このように、いかに手持ち現金を一時的に評価減できるかが、相続税対策となる。タワーマンションを使えば、それが容易に行えるということだ。ここでは詳しくは述べないが、2次相続で小規模宅地特例のケースにも有効となる。

 では、どう行えばよいのか。

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