「お金のためではない」尖閣諸島、2つの名家の思い

 40年の間に各方面から購入のオファーがあったが、首を縦に振らなかった尖閣諸島を所有するオーナーである栗原家。それは「古賀、栗原、両家の歴史を守るため」と、名家の系譜を継ぐためのシンボルであったことを、オーナーの弟・栗原弘行氏(65)が語った。長年続く資産家の苦悩を感じさせ、そのため民間に売却の意思はなく、東京都を最優先に交渉を行うことも語った。

欲張りでやっていると思われるのが不安


栗原弘行氏
 現在、東京都との売却交渉を行っているという尖閣諸島。そのオーナー男性の弟・弘行氏が20日、東京・外国特派員協会で記者会見した。

 「Aさんと話をしているのに、Bさんに売ってしまおうという信条は持ち合わせていません。スタートラインに立っているのは東京都で、最初の話を飛ばして、国(と話す)ということは考えていません」

 あくまでも東京都との交渉を最優先する考えを明らかにした。これまで40年に渡って、民間から数十社のオファーがあったという。海外企業かどうかは定かではないというが、売却しなかったのは「経済的な理由で購入したわけではありません」というからだ。それだけに「栗原家が欲張りでやっていると思われることが、ちょっと不安です」とも述べた。

 売却すれば数十億円などという報道が躍るなどしたが、そもそも儲けることを目的に所有したわけではないために、儲けなど考えてもいないのだ。

 そこには、前オーナーの古賀家と、栗原家との約束があった。

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