現代の「仕手株」の意味

全財産を賭けて戦うのが仕手戦

 本来「仕手戦」とは、戦前あるいは戦後しばらくの間、証券会社自身を含む複数の「仕手筋」が特定の銘柄を巡って「売り方」と「買い方」の二手に分かれてがっぷりと組みあい、それこそ資金が尽きて倒産するまで戦ったものです。

 当時は、ラジオはあったものの電話は予約しないとかけられず、テレビももちろんインターネットもない時代で、(正しいかどうかはともかく)情報収集能力や、「買い方」は資金の「売り方」は株券のそれぞれの調達能力や、相手側の切り崩しなどの能力が問われたものです。

 今では清水一行や城山三郎の小説くらいでしか知ることが出来ませんが、自分自身の全財産と全能力と全人脈を賭けて戦う非常に男らしいものでした。またこういった「仕手戦」の勇士が戦後の証券会社を経営して、それなりの活力を株式市場だけでなく日本経済にも与えていたことは間違いありません。

 ただ最近はこういった勇士もほとんどが鬼籍に入り、残された証券会社も次々と廃業しており、株式市場と日本経済の衰退を象徴しています。

 こういう「仕手戦」の最後が1971年の糸山英太郎氏と近藤信男氏との間の中山製鋼の「仕手戦」だったはずです。、圧倒的に資金力で劣る「買い方」の糸山氏の勝利に終わりました。

1 2 3 4 5 6
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる