更なる医療崩壊の引き金!? ~大病院「初診料一万円」が孕む危険性

「今日 朝ズバッ!で大病院の初診料が一万円になるって言ってたよ!」
「じゃあ初診の患者さん来なくなるかなぁ」
「別に紹介状付きで来ても診療時間なんてあんまり変わらないけどねぇ」
「夜間の救外が楽になればそれは助かるけどね!」
「でもどうせ診療所は夜間空いてないしね。救外の初診料はどうなるんやろうね。」

 大病院の初診料を紹介状がなければ1万円に値上げ、との報道が出た日、わが医局でもその話題で持ちきりであった。勤務時間が短くなれば助かる、手術などの専門治療に集中したいといった肯定なものから、重症化してから来ても困る、むしろ診断が付いたあとの再診を診療所にお願いしたいといった意見まで様々な意見が飛び交っていた。

 

やや唐突にでてきた感がある今回の「初診料一万円」騒動


 筆者自身大病院の勤務医ではあるが、今回の政策は何を真の目的としているのかピンとこない。初診を絞る事で本当に勤務医の負担が軽減されるのか、なぜ診療所を受診することが医療費の抑制に繋がるのか、本当に診療所なら費用が安いという事になると「やっぱり診療所だと十分な検査を受けられない!」という不信感を逆に煽ることにならないのか、色々疑問が沸いてくる。

 そもそも風邪の診療に時間を取られて、その他の患者の診療が十分にできないなんて事はまず有り得ない。診療に時間を要するのは、専門的な検査や治療が必要な患者さんなのだ。

 人手が足りない夜間の救急外来や、「薬の処方と世間話 (これが意外と長かったりする)」 を目的に病院に来る再診患者さんが減れば良いという思いはあるが、今回の政策は焦点が完全に異なる。

 やはり机上の空論の域を出ない印象を受けてしまう今回の政策について、その問題点を分析してみよう。

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