M資金詐欺の黒幕は帝国ホテルに住んでいた「闇の番人」田中森一(6)

 「詐欺事件はいつの時代でもある。手口はいろいろだが、本質は昔も今も変わりない」。田中森一は、まず大阪地検特捜部時代に窓口となった豊田商事事件を上げる。豊田商事事件は高齢者を中心に数万人が被害にあい、被害総額は2000億円近くと見積もられ、1985年には会長の永野一男がマスコミの前で惨殺された。この事件では告訴状が数多く届いたが、当初は詐欺としての立件を見送っていた。

「民事でやってください」が検察の本音

 「“絶対儲かりますといわれて、信用してカネを出した”これが詐欺といえるのか」


田中森一氏
 絶対に儲かるものなんて世の中にない。常識があり判断能力もある大人が、そんな言葉に騙されても、欲ボケしているだけで法律的に詐欺とはいえない。カネを取り返したいなら民事裁判でやってくださいというのが、田中をはじめ検察のスタンスだ。では、詐欺として当局が本気になるのはどんなケースか。

 「豊田商事はおじいちゃん、おばあちゃんに手を広げた。こうなったら話は別だ」

 判断能力が極端に衰えた年寄りが騙され、なけなしのカネを取られとこが相次いだら断固、詐欺事件として立件しなければならない。

 「判断能力に欠ける社会的弱者は、幅広く救済しなければいかんのが、法律の立場だね」

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