M資金詐欺の黒幕は帝国ホテルに住んでいた「闇の番人」田中森一(6)

M資金の詐欺の張本人は帝国ホテル住まいの老人?

 M資金はGHQが占領下で没収した財産を基に、極秘に運用されていると噂される秘密資金で、詐欺の手口としてこれまでに何回も摘発されている。田中も大阪地検特捜部時代はM資金の詐欺を手がけている。

 「捕まえた本人がM資金は本当にあると信じている。人を騙している自覚がない」

 いったいM資金詐欺の親玉は誰なのか。後年、弁護士になって知り合いを介しある人物と親しくなった。100歳を超える老人だ。その人は帝国ホテルを住いにしていた。

 「私はロスチャイルドの日本でのすべての権利を持っている。スイスのレマン湖の畔に別荘と家がある」

 確かにカネはある。その老人が言うには、「資本金500億円以上のオーナー会社の社長を紹介してくれたら、その人に1千億~2千億円貸してあげます。あなたには5億でも10億でも手数料を支払いましょう」

 老人は元戦犯で巣鴨プリンスでの拘置の経歴を持つ。田中が4年8カ月の服役を経て、戻ったときには他界していた。帝国ホテルの知人に聞くと、事前に数億円を預かっていた、得体のしれない人物だったという返答だった。

 「検事と弁護士の経験を持つわしの勘だが、どうも彼がM資金詐欺の張本人ではないか」

 そういうと、田中は腕を組みうなずく。

 詐欺師はいろんな顔をして目の前に現れる。人間の本質は変わらない以上、欲ボケに付け込む詐欺師は絶対にいなくならないのだ。(終わり)

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