「印税長者」は現代でも成立するのか? 【綾香・水嶋ヒロ編】

一人でヒット曲を生み出すのは無理に近い

 高橋さんの場合のように「個人で楽曲を発表しヒットさせるという構図はなかなか成り立たない」(芸能プロ幹部)という。制作、プロモーション、販売、マネジメントなど、すべてを自分一人で行ってヒットさせるのは至難の業だ。しかも、ミリオンヒットが出ないこのご時世だけに、余計に難しいと言わざるを得ない。

 権利関係の構図としては、レコード会社と、事務所が多くを握っているかのように見えるのだが、資本のほとんどを出しているために、リターンも大きい。

 「メーカーと事務所のリスクは大きいですよ。大手の某社は昔、プロモーションだけで何億円も掛けたりすることもありました。しかも新人ともなれば、よほど長い時間を掛けないといけません。100人デビューさせて、1人か2人ヒットすれば、まだいい方ではないでしょうか」と関係者はいう。

 レコード会社と事務所はこうしたリスクの高さからも、リターンは最大限にもらわないとやっていけないのが実情だ。一般論で、アーティストの取り分の少なさを見るかぎり、綾香さんは療養して病気の具合を見ながら、いつか活動を再開すると見られている。

 では、作家活動を宣言した水嶋ヒロさんだが、こちらも厳しいと言わざるを得ない。著書「ホームレス中学生」が約200万部の大ヒットとなった、漫才コンビ「麒麟」の田村裕さんも、印税、版権などで約2億円になったというが、最終的に田村さんの手元に入ったのは約8000万円だという。

 第一「水嶋(さん)に、そんな才能があるなんて聞いたことがない」(芸能プロ幹部)とも言われ、仮にヒットを飛ばしても「印税長者」の道は険しい。音楽でも出版でも、印税は副収入くらいに考えておくのが良いということか?

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