切手道は運も大事
Aさんが、その道で有名な展示会に出展した、大正時代の切手は最高の賞を受賞。この切手の分野に関しては「世界一のコレクションではないか」との自負を持っているそうだ。見せてもらうことにしたが、そのジャンルのコレクションだけで、広い部屋の床一面を埋め尽くすくらいに並んでしまった。
ちなみに、そのテーマを説明するだけで実に30分以上は費やしただろうか。
「ここまで集めることができたのは、『運』という要素も必要だと思います。自分がここまで来ることができたのも、何かを持たせてもらっているのかもしれないなと思います」
Aさんはつい先日、海外のインターネットオークションでタダ同然の価格で、相当な希少価値のあるものに出会って運よく購入できたそうだ。ネット上では滅多に出現しない上に、本物かニセ物かハッキリ確認できないが決心し購入したところ、本物だったという。
やはり、真摯に「切手道」に向き合うコレクターに、チャンスは分け与えられるのかもしれない。Aさんは今後「分野の取捨選択をしながら、特定の分野に集中していけたら」と目標を語った。
切手というコレクションの世界がどれほどのものか、読者の皆さんも少しは理解できたことだろう。趣味の世界で認められたAさん。人生を大好きな切手とともに過ごすことができたという感謝の気持ちでいっぱいなのだという。自分が満足するだけで良いのか、ならば、せっかく集めた切手を使って、自分が生まれ育った故郷の自治体に恩返ししよう。
Aさんの決意は固まっている。(つづく)◆【切手を1億円集めた男】(下)1億円を4億円にする◆