私はこうして「青山霊園」の抽選に当たった(下)

義務感を払しょくすることが先祖供養に

 「お墓参り代行」なるビジネスが存在する。これは、墓参できない人のために、それを代行するというサービスだ。これなどはまだいい方で、「無縁仏」という家族が誰もいないお墓も存在する。当然、墓参する人は誰もいない。だが、そうした懸念も青山霊園にお墓を建てることで解消できるのではないか、と男性は考えたという。

 「お墓というものは大体が不便な場所にあるのではないでしょうか。墓参が1日仕事になったり、なかなか親戚が集まりにくかったり、負担になったりしているのが現状ではないかと思います」


 男性は、地方に両親のお墓があった時には、年に1度は墓参に行っていたそうだが「行くと、自分が去年備えた花が枯れたまま残っているのです」と嘆く。それなら、年に何度か通うことができて、しかも親戚も集まりやすい場所ということで、交通アクセスを重要視したそうだ。

 「お墓参りはともすれば、お金と時間を掛けて、アクセスの悪い場所に墓参りに行くという、義務的な感覚が強くなっています。墓地の存立基盤が弱くなる一方です。それよりも、負担を掛けずに小まめに行く方が、先祖を崇拝するという文化を守ることができるような気がします」

 嫌々ながら墓参することが先祖供養になるのかどうか。そんな深遠なテーマについてここで解答を導くことはできないが、墓参者も気持ち良く行く方が、先祖供養につながるのではないだろうか。

 「青山霊園」を単なるブランドとして捉えるだけでなく、自分や先祖も含めた家族のつながりを考え直すきっかけを与えてくれているのではないか。(おわり)◆私はこうして「青山霊園」の抽選に当たった(上)◆

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