老人が早く死ねば死ぬほど儲かる不動産投資

 人の命にお金を投じるものはこの世にいくつか存在する。その一つに、フランスには「ビアジェ」と呼ばれる投資システムがある。これは不動産投資の一種だが、ちょっと特殊であるのは、老人が早く死ねば死ぬほど儲けが出るという点だ。

「年寄りつきマンション売ります」


 パリの不動産売買情報誌を見ていると、市場価格より格段に安い物件を見つけることがある。これは「古家付き土地」ならぬ「年寄りつきマンション」。

 ビアジェとは、死後に受け渡すマンションの販売を、生前中に行うことができるフランス特有の制度。高齢者所有のマンションを市場価格より安く買うことが出来るが、もれなく「おばあちゃん付き」だ。売主の高齢者は、生存中はそのマンションに住み続ける権利があるからだ。またおばあちゃんにはお小遣いも必要で、毎月契約書で定めた「年金」を支払わなくてはならない。
 ※ビアジェとはフランス語で「年金」を意味する。

 若い夫婦は、市場価格より格段に安くマンションを買えるチャンスだと思い、ビアジェを利用する。フランスの不動産は古くなっても価格が下がらず、ここ数十年間不動産価格が右肩上がりに上昇しているため、低い前金で将来的な含み益も望める。

 フランスではローマ時代からこのビアジェという売買契約が行なわれているが、最盛期は前不動産取引の10%近くを占めたこともあったが、現在は約1~2%、件数にして年間2000件以上の成約件数と減少しており、風前のともしびとなりつつある。これから実例などを見ていくが、それも納得か?

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